フェンシングは日本ではまだ馴染みが薄い競技ですが、5歳の子どもから70代の大人まで、年齢や運動経験に関係なく始められる懐の深いスポーツです。2021年東京オリンピックでの男子エペ団体金メダル、2024年パリオリンピックでの男子フルーレ団体金メダル・男子エペ個人金メダル(加納虹輝選手)など、日本選手の世界での活躍もあり、近年注目度が高まっています。
この記事では、これからフェンシングを始めたい方に向けて、種目の違い・必要な用具・練習頻度・費用の目安・年齢別の始め方・上達ロードマップ・よくある疑問まで、完全網羅の形でまとめました。
なぜ今フェンシングなのか
1. 希少性が極めて高い
日本の競技人口は約6,400人(2022年JFA)という希少さ。サッカー約90万人・野球約100万人と比較すると、「やっている人が少ない=上位に入りやすい」競技です。学校・地域での差別化にも、受験・推薦進学時のアピール材料にも有利に働きます。
2. 怪我リスクが低い
マスク・ジャケット・グローブ・プラストロンで全身が保護されており、剣先も安全設計。骨折・打撲・歯の損傷などは年間怪我率ベースで野球・サッカーよりも低い傾向にあります。
3. 5歳〜70代まで生涯続けられる
体力・瞬発力だけが勝敗を決めないため、高齢になっても楽しめるスポーツ。リッツフェンシングアカデミーにも70代の生徒が在籍しており、「一生続けられる趣味」として始める大人も多数です。
4. 戦略的・頭脳的な競技
「チェス・ボクシング」と形容されるように、瞬時の判断力・戦略的思考・相手の読みが問われます。運動が苦手でも、頭を使った戦いが得意な子は大いに活躍できます。
5. 国際的に通用するスキル
オリンピック種目として1896年第1回から継続。世界共通ルールで、どの国でも試合ができます。海外留学・海外勤務時にもそのまま続けられる「国際互換性」の高さも魅力です。
フェンシングとは — 3つの種目
フェンシングには フルーレ・エペ・サーブル の3種目があります。使う剣の種類・有効なターゲット(攻撃していい部位)・ルールがそれぞれ異なります。
フルーレ(Foil)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 剣の重さ | 約500g |
| 攻撃方法 | 剣先突きのみ |
| 有効部位 | 胴体(背中・胸・腹) |
| 特徴 | 攻撃権(プリオリテ)ルール、駆け引き重視 |
| 日本での人気 | 最多競技者 |
初心者に最もおすすめの種目。基本技術がエペ・サーブルにも応用でき、日本ではフルーレ人口が最も多い。「攻撃権(プリオリテ)」という独特なルールがあり、先に攻撃を仕掛けた側に優先権が与えられます。
リッツフェンシングアカデミーはフルーレ専門校として、初心者から競技志向の選手まで、一貫してフルーレの技術を伝えています。
エペ(Épée)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 剣の重さ | 約770g |
| 攻撃方法 | 剣先突きのみ |
| 有効部位 | 全身(頭から足先まで) |
| 特徴 | 攻撃権なし、早撃ち重視 |
| 日本での人気 | 第2位 |
決闘を起源とする種目。全身が有効面のため、足先・前腕への「早撃ち」がポイント源になります。2020年東京オリンピック・2024年パリオリンピックで日本が金メダルを獲得した種目としても注目されています。
サーブル(Sabre)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 剣の重さ | 約500g |
| 攻撃方法 | 突き・斬り両方 |
| 有効部位 | 上半身(頭・腕・胴、手除く) |
| 特徴 | 最もスピーディー、騎兵の刀剣術起源 |
| 日本での人気 | 第3位 |
3種目中最もスピードが速く、1ポイント数秒で決まることも。試合展開の爽快感・ダイナミックさは観戦でも人気です。
初心者はどの種目を選ぶべき?
結論: フルーレから始めるのが最適
理由: 1. 競技人口が最多で、教室・大会の選択肢が広い 2. 基本技術が他2種目に応用しやすい 3. 攻撃権ルールで戦術思考が育つ 4. 剣が軽く(約500g)、子供でも扱いやすい 5. 日本代表・オリンピック選手の多くがフルーレ出身
後からエペ・サーブルに転向することも可能です。まずはフルーレで基本を固めるのが王道とされています。
初心者が最初に揃えるべき用具は?
結論から言うと、最初は何も揃える必要がありません。多くの本格的なフェンシング教室では、体験レッスン・入会後の通常レッスンともに、以下の用具をすべて無料レンタルで用意しています。
必要な用具一覧
| 用具 | 役割 | 初心者価格(購入時) |
|---|---|---|
| マスク | 顔・頭部を保護する金属製マスク | ¥15,000〜¥25,000 |
| ジャケット | 上半身を覆う厚手のプロテクター | ¥15,000〜¥30,000 |
| プラストロン | ジャケット下の補強具 | ¥5,000〜¥10,000 |
| グローブ | 利き手用の専用手袋 | ¥3,000〜¥8,000 |
| 剣(フルーレ) | 練習用または試合用 | ¥8,000〜¥30,000 |
| ボディワイヤー | 試合時のケーブル | ¥3,000〜¥8,000 |
購入する場合は合計¥50,000〜¥120,000の初期投資となりますが、レンタル対応の教室を選べば¥0から始められます。
用具購入を検討するタイミング
| 継続期間 | 用具方針 |
|---|---|
| 〜3ヶ月(体験〜入門) | 完全レンタル |
| 3ヶ月〜1年(初心者) | 完全レンタル |
| 1年〜3年(中級) | 一部マイ用具(マスクのみ等)検討 |
| 3年以降(本格志向) | 試合用マイ剣・マイマスク購入検討 |
継続して大会出場を目指す段階になってから、自分用の用具を揃えていく流れで十分です。
練習頻度と上達の目安
基本の練習頻度
週1回の練習でも、半年〜1年で基本的な足さばき(フットワーク)と剣の扱いは身につきます。上達を早めたい場合は 週2回以上 が理想的で、競技志向であれば週3回以上の練習が一般的です。
自宅での補助練習
週1回のレッスンに加えて、自宅で1日15分の基本フットワーク練習を行うと、上達速度は大きく変わります。鏡の前でオン・ガルド姿勢を3分キープするだけでも、基本姿勢が安定します。
上達ロードマップ
| 期間 | 習得内容 |
|---|---|
| 1ヶ月目 | オン・ガルド姿勢、基本フットワーク初歩(マルシェ・ロンペ) |
| 3ヶ月目 | ファント(突き)、基本パリー(4番・6番)、簡単な攻防 |
| 6ヶ月目 | 試合形式の攻防、基本戦術の理解、初試合出場も可能 |
| 1年目 | クラブ内試合で勝ち負けがつくレベル、フェイント技術 |
| 2〜3年目 | 地域大会・小学生大会(U10/U12)で入賞レベル |
| 5年目 | 都大会・関東大会で安定して上位入賞 |
| 10年目〜 | 全日本選手権予選通過を目指すトップ層 |
個人差はありますが、真面目に続ければ誰もがこのロードマップを辿れます。
費用の目安
月謝相場(2026年4月時点・東京23区)
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 月謝(週1) | ¥10,000 〜 ¥15,000 |
| 入会金 | ¥10,000 〜 ¥15,000 |
| 用具レンタル | 教室により¥0〜月¥3,000 |
| 用具購入(希望者) | ¥50,000 〜 ¥120,000(初期) |
| 協会登録料(大会参加者) | 年 ¥3,000 〜 ¥5,000 |
| 大会参加費 | 1大会¥1,500〜¥5,000 |
3年間の総額試算(週1回・用具レンタル教室の場合)
- 入会金: ¥11,000
- 月謝: ¥11,000 × 36ヶ月 = ¥396,000
- 大会参加費(年3〜5大会): ¥30,000
- 合計: 約¥440,000
他の習い事(スイミング・ピアノ・学習塾)と比較しても大きく負担が重いわけではないのがフェンシングの意外な実態です。
年齢別・始め方のコツ
5〜8歳(ジュニア)
遊びや体操を通じて基本動作を楽しく覚える段階。5歳から受け入れる教室もあり、「勝ち負けより、身体を動かすこと自体を楽しむ」を重視します。
この年齢のポイント: - 週1回のペースで十分 - 親の見守りが大切 - 運動能力の差より「楽しんでいるか」を重視
小学校低学年(6〜9歳)
技術を本格的に習得し始める段階。基本フットワークと剣の扱いを同時に身につけ、試合にも徐々にチャレンジ。
この年齢のポイント: - 礼儀作法(ハンドシェイク文化)が自然に身につく時期 - 集中力の持続時間が伸びてくる - 同年代の友達との相乗効果が大きい
小学校高学年(10〜12歳)
試合出場が現実的になる段階。東京都大会U12カテゴリで入賞経験を積むことも。
この年齢のポイント: - 中学進学を見据えた基礎固め - 週2回への頻度増加も検討 - スポーツ推薦の可能性を視野に入れる
中高生
本格的な競技者として試合志向に入るタイミング。インターハイ・国体を目指す選手もこの時期に頭角を現します。
この年齢のポイント: - 部活動との両立(週1〜2回のスタジオレッスン) - 大会出場頻度の増加 - 大学スポーツ推薦への実績作り
大人(20〜60代)
未経験・運動経験なしでも問題ありません。フェンシングは体格や瞬発力より「姿勢・予測・駆け引き」の競技なので、じっくり積み上げる大人にこそ向いています。
この年齢のポイント: - 仕事帰り・週末に通える時間帯を選ぶ - 体力レベルに合わせた無理のないペース - 子供と一緒に始める「親子フェンサー」も人気
シニア(60代〜)
関節・筋肉への負担が少ないため、シニアにも優しい競技。70代の生徒が現役で練習している教室もあります。
この年齢のポイント: - ウォーミングアップ・ストレッチを徹底 - 試合よりも「健康目的」で楽しむ - 同世代の仲間との交流が生きがいに
初心者がよくある疑問(Q&A)
Q1. 本当に運動が苦手でも大丈夫?
A. はい、全く問題ありません。フェンシングは瞬発力より戦略・読み合いの競技です。他のスポーツで挫折した子が、フェンシングで輝くケースは多数あります。
Q2. 身長が低くても勝てる?
A. はい。体格差が勝敗に直結しにくい競技で、身長150cm未満の選手が日本代表になった例もあります。戦術とスピードで体格差を覆せます。
Q3. 左利きでも大丈夫?
A. むしろ左利きは有利とされています。右利き選手が左利きと対戦する機会が少ないため、左利きの選手は相対的に多くの対戦経験を積め、慣れた状態で試合に臨めます。
Q4. 近視でも問題ない?
A. 問題ありません。マスクの中にコンタクトレンズを装着している選手も多数。眼鏡対応のマスクもあります。
Q5. 女の子でも続けられる?
A. はい、リッツでは女性比率約4割。女子フェンシングは日本代表にも女子選手が多く、目標設定もしやすい環境です。
Q6. 中学受験と両立できる?
A. 週1回の頻度で通えるため、中学受験との両立は十分可能。小6後半は休会にするなど柔軟な対応ができる教室を選べば問題ありません。
Q7. 大人になってからでも間に合う?
A. 全く問題ありません。40代・50代から始めて全日本マスターズ選手権に出場する方もいます。楽しむことが目的なら、何歳からでも始められます。
Q8. 東京以外で教室はある?
A. 大阪・名古屋・神奈川・千葉など主要都市に教室があります。ただし、都心と比べると選択肢は限られます。最寄りの教室を事前に調べることをおすすめします。
よくある失敗・挫折要因
失敗1: いきなり用具を購入してしまう
3ヶ月で辞めた場合、¥100,000の初期投資が無駄に。最初はレンタル対応の教室を選ぶことが必須。
失敗2: 週3回で始めてしまう
初心者は週1回で十分。いきなり高頻度で始めると、体が追いつかず挫折の原因に。
失敗3: 試合結果に一喜一憂しすぎる
初試合で連敗するのは当たり前。試合経験の積み上げが最重要で、勝敗よりプロセスを楽しむマインドが大切です。
失敗4: 他の習い事と並行しすぎる
週5〜6日も習い事があると、どれも中途半端に。フェンシング + 主要科目の塾程度に絞るのが現実的です。
失敗5: 親が過剰に期待する
親の期待が重圧になり、子供のモチベーションが下がるケース。「楽しんでいるか」を最優先に。
無料体験の流れ
リッツフェンシングアカデミーでは、完全無料・手ぶらOK の体験レッスンを随時受け付けています。以下のステップで気軽にスタートできます。
- お問い合わせフォームより希望日時を送信
- スタッフから返信し、日程確定
- 当日は動きやすい服装(Tシャツ・ジャージ・運動靴)で来校
- スタッフが用具装着をサポート
- 60分の体験レッスンで実際に剣を握る
- 入会希望の場合のみ手続きのご案内(押し売りなし)
体験レッスンでチェックすること
- コーチの指導スタイル(優しさ・厳しさのバランス)
- 施設の清潔さ・広さ
- 他の生徒の雰囲気
- 自分(子供)の反応・楽しさ
- 質問への丁寧な回答
まとめ
- フェンシングは、5歳から大人まで・運動経験なしでも・手ぶらで始められる懐の深いスポーツ
- フルーレから始めるのが初心者には最適
- 日本では競技人口がまだ多くないため、始めた方が希少なスキルを持つ存在になりやすい
- 週1回の練習で基礎は身につき、3年続ければ大会入賞レベルも狙える
- 初期費用を抑えたいなら用具レンタル無料の教室を選ぶ
- まずは無料体験で剣を握ってみることが最も確実な判断材料
合う・合わないは、実際に触れてみるとすぐに判断できます。理論を読み漁るより、一度体験してみることを強くおすすめします。

